人生経験を重ねた人の言葉には、重みがある。 ・・・ボラみみより情報局、年長四人の賢者、リレーエッセイ |
| 第1回 | 駅のトイレ |
よく利用するある駅の女性トイレで、以前こんな張り紙が目についた。<毎朝トイレットペーパーを持っていくのはやめましょう、いつも同じ人ですね。恥ずかしくないですか?> 「へえ、こんな人がいるのか、それをよく見ている人もいるもんだ、たぶん清掃係の人だろう」と思いつつ、同時にとてもいやな感じがした。複数の掃除当番が、時間帯で動いているらしいことは察しがつくが、こういう書き方をする人はどんな人だろうか。よく見かけるあの小柄な、いつもちょっと不機嫌そうな年配の人だろうか? いや、みかけで判断してはいけない。 だが一方で、この駅はいまどき珍しくトイレの悪臭がひどいし、ドアがいたんだままになっているところも何カ所かある。総合駅と銘打ってあるにも関わらず、お粗末なところが気になっていた。 あれから、半年ほどそこを利用しない時期があって、この間久しぶりに入ったら、以前と同じようなカナ釘流で、こうあった。<いつもきれいに使っていただいて、ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。> 自分の頬が思わず緩むのがわかった。張り紙の横で、大柄な清掃係の人がこまめにモップを使っていた。書いたのはこの人かもしれないし、違うかもしれない。 誰にしろこの書き方は、すてきだ。言葉は使いよう、気持ちは持ちよう。 |
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| (2002年11月) | |
| ボラみみスタッフ 永田 明子 |
『ボラみみ』創刊当初からの熱心な読者。今年から、ライターとして、差し入れボランティアとして、ボラみみより情報局をヘルプ。代表の織田青年をこよなく愛する賢者のひとり(彼を「青年」と呼べるのは、彼女しかいないかも・・・) |