平野 ちひろ
聴覚障害者。子ども3人のうち、2番目の息子がダウン
症。平成9年8月から、息子の養育を目的にカリフォルニア州立大学ノースリッジ校へ
語学留学。子どもたちはそれぞれアメリカの小学校で1年間学ぶ。現在、ハッピーサ
ークル(手話サークル)、ASL手話講座(アメリカ手話)など、名古屋市北区を中心
に活動。3人の子育ての傍ら、障害児の母親たちと活躍中。
ご意見ご感想をお待ちしております。
ボラみみより情報局まで。
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皆さんは、自閉症やダウン症などの知
的障害の特徴(知識、性格)をどれだけご存知でしょうか。一般に、知的障害者は単
純に字が読めない、書けないなど、ある意味で普通の生活は不可能だと思う人が多い
ようです。聴力に障害のある私でも、耳の障害については自分が一番よく知っていま
すが、身近に知的障害者たちと触れ合う機会がなく、その障害がどんなものなのか全
く知りませんでした。ダウン症のたかひろを産んでいろいろ知ったこと、今まで深く
考えてきたこと、これからの彼の実生活を追っていきます。
たかひろは今小学5年生で、公立小学校の特殊学級で学んでいます。ひらがな、カ
タカナは全部書けるし、読めます。今は毎日、漢字の練習をしているところで、算数
は1〜10まで書け、答えが10になる足し算、引き算も理解できます。毎週水曜日に私
が特殊学級で手話ソングを教えるためにCDをかける時、たかひろは聞こえない私のた
めに、いつも歌詞を棒で指しながらリズムを教えてくれます。
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▲手話ソングを教える時は 歌詞を棒で指しながらリズムを教えてく
れる▼
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もちろん人の言うことも理解でき
るし、自分の意思で人に伝えることができます。実生活では普通の子どもたちとあま
り変わりありません。パソコン、テレビゲーム、玩具などに興味があり、兄弟のやっ
ているところをみて学ぶので、自分で挑戦したり、時には姉の部屋に行ってCDを聴い
たりしています。時々私の目をぬすんでエスケープするのは困りものだけど、来客や
娘が私を呼んだ時、たかひろは私のところにきて指差して教えてくれます。他にも生
活の中で私には気づかないような、お茶を沸かす音、レンジの音など、いろんな音を
私に教えてくれるのです。兄弟を見て一緒に暮らしてきているので、両親が聞こえな
いということが彼にもわかっています。
一番の楽しみは夕食で、毎晩必ず私のところにきて「ママ今日は何を作るの?」と
手話で質問し、「今日はたかひろの好きなカレーライスよ」とか「今日は餃子よ」と
答えるのですが、顔の表情と動作ですぐ表します。カレーライスは大好物なので顔が
パーッと明るくなりますが、餃子の場合は皮が嫌いなので顔がくもり、座り込んでし
まいます。マイペースで頑固な性格ではありますが、本当に活発で、笑顔が素敵な少
年です。
知的障害といより、発達障害といった方が正しいかもしれません。自閉症の場合も
同じで、IQ(知能指数)が200以上など普通の子より高い場合が多く、学力はあって
も人とのコミュニケーションが苦手なだけです。同じ人間として心を持った知的障害
者だから、社会にフィットするために必要なことから始めたい。息子から学んだこと
を社会に伝えていきたいし、社会の隅に置かれてしまうより、私たちの方からどんど
ん外へ出ていった方が世間の偏見も見る目が変わってくると思います。
障害者と接したことがない人は、最初戸惑うかもしれません。障害者自身も人に敬
遠されることがあると感じています。しかし、同じ人間として愛し、話したいだけな
ので、もし障害者を見かけたら、怖がらずに気楽に話しかけてみてください。
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また、自分が障害者だと気づく人もいれば、気づかない人もいます。私の小学生時
代もそうでした。普通の子たちが私の前で笛を鳴らし、何の反応もなければ、「あか
んべー」されたり、「何言ってるのかわからん。きちがいだ」と言われたりしました
。3歳半に失聴し、4歳からずっと厳しい口話訓練を受けていましたが、このようなバ
ッシングを受けて、小学2年のときに初めて自分が聴覚障害者であることがわかった
のです。
日本では障害者と健常者の学校を別々にしているので、お互いに交流するきっかけ
がない限り、いろんな人間を知ることができません。バリアフリー的な教育方法を考
える必要があると思います。ADA法(身体障害者差別禁止法)という法律を含め、ア
メリカで学んだことを私流の新しいやり方で提供したいと思っています。
今回をもちまして、「ちひろ通信」の掲載を終了させていただきます。今まで読ん
でいただき、本当にありがとうございました。平野さんは今後も、日本で障害児教育
や2005年に開催されるスペシャルオリンピックのボーリング競技に参加など、さらに
活動を広げていきますので、応援をよろしくお願いします。
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