クローズアップ ボラ人 2002年8月
山本一子さん
活動暦23年!面白い・楽しいで歩み続けています


音訳・デイジーと共に

柔らかな優しみのある大阪なまりが時折混じる、
メリハリの効いた語り口は、音訳(*注1)者として
さぞかしわかりやすい読みをするんだろうなあと、実感する。
豊田市から、道のり1時間30分弱の
名古屋盲人情報文化センター」まで車を飛ばして
週1、2回通って来る山本一子さんは、ボランティア歴23年に及び、
活動が生活の一部としてすっかり定着している。


子どもが巣立ち、自分の時間ができた時、まず、当時住んでいた大阪で
音訳ボランティアを始めた。
現在もそれを継続しながら、更にデイジー図書製作(*注2)に関わり、
それぞれの後進の指導にも当たるようになった。

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音訳は下調べに時間がかかる。
文字の読み方・図・表の説明を
わかりやすくするには?
声だけが頼りの視覚障害者が、
理解できる読みになっているだろうか?
想像力を働かせながら、
自宅や図書館で
一人の作業を入念にこなす。
デイジーは、
パソコンの画面を追いながら、
一冊の本と向き合う。
時間はあっという間に過ぎていく。



夫との旅行が、楽しい息抜きに

活動を始めて、自分に課していることは、
「食事の手抜きはしない」こと。
でも掃除は臨機応変に。昼は12時・夕方は6時になったら炊事を始める。
夜は9時から12時までは、
パソコンに向かってデイジー関係の諸々に費やすことを心がけているが、
これもあくまで原則としてのこと、テレビを観る事ももちろんある。
このゆとりある生活スタイルが、忙しい活動を維持していく基本なのだろう。
夫の転勤で、大阪から名古屋へ。
活動範囲も、三重・岡崎・豊田と広がってきた。
面白いし、もっといろいろ知りたいと、好奇心はいや増すばかりである。

では、名古屋圏内を幅広く活動の場としている山本さんの楽しみは?
との問いには、とてもほほえましい答えが返ってきた。
夫の趣味である旅に一緒に出かけること。
毎月一回は高原の温泉への一泊旅行。
夫の定年後は、年に一度は海外へ。
「それは、私の誕生日前後に全部、夫がお膳立てしてくれるのよ。」
前向きな妻に、夫がさりげなく示す心づかい、
これも生き生きと活動する山本さんの明日の活力源になっているのは
間違いない。
興味津々なものを、見返りを期待せずに。

山本さんが、これからボランティアを始めたい人にお勧めするのは、
自分の好きなことをやってみたらということ。
人に誘われたり、今流行っているものだからというのは、
長続きしないような気がする。
彼女自身、カルチャーセンターのある講座を受講した時、
意外に「言葉」を知らない人が多い、自覚していなかったけれど、
自分は割と知っているんだなあと感じた。
このことが自信となって、更に夫が若年白内障にかかって、
目が不自由なことの大変さを身近で体験したことと相まって、
音訳を始めたと言う。
興味津々なものを見つけたら無欲でやること、
見返りを期待しないことも大事だとも。
 

最後に、対面読書(*注3)で長年お付き合いのある
博覧強記の利用者に啓蒙されて、
広い世界へ目を向ける糸口をつかめたことに感謝していると、
さわやかに語った。
中、高年で自分の時間が持てるようになった主婦や、
定年後の生きがいを模索しているサラリーマンが、
ボランティアを視野に入れることが多くなった。
山本さんの活動も、そういう人々にヒントを与えてくれるだろう。


*注1.音訳:文字を音にすること。具体的には、本を読み上げて録音する。

*注2.デイジー図書:デジタル化されたCD図書。
*注3.対面読書:視覚障害者に、音訳者が向かい合って本を読むこと。

DATA 名古屋盲人情報文化センター
 
場所 : 名古屋市港区港陽1丁目1ー65
TEL : 052ー654ー4521
FAX : 052ー654ー4481
E-mail : arv55398@biglobe.ne.jp
URL : http://www.e-nakama.jp/niccb
活動内容:視覚障害者へのあらゆる情報サービス
       例・点訳、音訳図書の製作、貸し出し。


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