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●●● 自然の中で生きる、ホタルを「観察」する ●●●

 愛知県稲沢市祖父江地域には、自生のヘイケボタルが棲んでいます。 ホタルを放流し観賞する地域がある中、自然ふ化し、生息する地域は年々減り貴重な存在になりました。 畦道の草刈作業、生息環境調査、用水路の水質・生物調査を行いながら、小さなホタルの命を陰ながら守っているのが「NPO法人 祖父江のホタルを守る会」です。

 毎年、6月下旬に「ホタルの観察会」が開催されます。 この日は、体育館に約200名の方々が集まり、ビデオやスライドを見ながらホタルの生態についてわかりやすく学びます。 ホタルを『観賞』するのではなく、そっと『観察』することが大切だということです。 農薬や捕獲など、ホタルやその他の生物が減少している理由を改めて考えるきっかけとなりました。 説明が終わる頃、太陽が沈み外は真っ暗。 さあ!いよいよ水田や用水路に生息するホタルの観察に出かけます。

毎年好評の「ホタルの観察会」の様子。今年も満員御礼でした。
毎年好評の「ホタルの観察会」の様子。今年も満員御礼でした。

●●● 暗闇ミステリーツアー・・・ ●●●

 真っ暗な畦道を懐中電灯の光を頼りに歩きます。この日は、時期・気候ともに最適な夜。 わくわくしながらしばらく歩いて行くと小さな男の子が大きな声でさけびました。 「ホタル!」みんないっせいにその声の先をじっと見つめると優しく光るホタルがいました。 私が生まれてはじめて見るホタルの光でした。

 「この辺りにホタルがいますよ」という目印のちょうちんがいくつも立っていて、その辺りの草の中を覗き込むとたくさんのホタルが光っています。 このちょうちんは、朝早く畦道を観察し、ホタルがいるのを確認してスタッフが立ててくれたものでした。 「とってもきれいだけど、数が多いほどメスの奪い合いが激しく行われています。 そうやって争いながら子孫を残していくんだよ。来年も見られるといいね」と子どもたちにもわかりやすく、環境やホタルの生態、命の大切さについて説明してくれました。

ホタルのイラスト

●●● 自生のヘイケボタルを守るために ●●●

 「祖父江のホタルを守る会」では、ホタルが飛翔している時期は毎晩田んぼに出向き、ホタルの数を調査し、定例会で発表しています。 毎年11月下旬に開催される「イチョウ黄葉まつり」に出展し、日頃の活動やスタッフが長時間かけて撮影した貴重なホタルの写真を展示しています。 また小・中・高等学校で子供たちが直接生き物と触れ合える自然教室を実施したり、依頼があれば一般の講演会も開催しています。

 ホタルにとって棲みやすい環境をつくるということは、私たち人間にとっても安心して生活できる環境ということです。 来年は、スタッフの地道な活動がさらに実を結び、今年以上にたくさんのホタルが観察できたら良いと思います。 来年はみなさんもホタルが元気に生息している姿をそ〜っとのぞきにいってみてはいかがでしょう。

「イチョウ黄葉まつり」では写真やパネルを使ってホタルの生態について
丁寧に説明してくれます。
「イチョウ黄葉まつり」では写真やパネルを使ってホタルの生態について
丁寧に説明してくれます。
畦道の草刈作業。暑い夏の日は大変です。
畦道の草刈作業。暑い夏の日は大変です。