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特集 心豊かに「子どもと大人が共に育ちあう会」を目指して ――特定非営利活動法人 子どもと文化の森――

広い通りから少し入ったところにある余野神社(丹羽郡大口町)の境内に事務所を構える「子どもと文化の森」。 1975年「尾北おやこ劇場」として発足したのが始まりだ。 「感性を育み、子どもたちに夢を!」をテーマに、生のお芝居や音楽を子どもたちに体験してもらいたい。 その精神と活動を大切に、「子育ての支援」「体験と創造」「文化と鑑賞」の3つを柱に、時には他団体や行政と協力して、幅広い事業を行っている。 専務理事の水野裕子さんにお話を伺った。

◆ 子どもにとっても、お母さんにとっても安らげる居場所

写真 マーブルクラブのプログラム。5月にみんなで植えたいもの苗が、立派なおいもに成長しました。

  取材に伺った日は、乳幼児とその保護者が気軽に集まれる場所となっている「ちゃいるど・すぺーす尾北」の日だった。 たくさんの子どもとお母さんが参加し、皆さんとてもゆったりと過ごされていた。 子どもたちがさまざまな遊具でのびのびと遊べるスペースというだけではなく、お母さん同士のおしゃべりや情報交換の場であり、ほっと一息つく場所になっている。 また、“せわやきおばさん”(スタッフ)と子育てについて話したり、心配なことを気楽に相談できる場所でもある。

写真 「マジックハンドゲーム」マジックハンドで、ゴミの分別にチャレンジしました。

 水野さんの「ここに来ることができているお母さんたちは『出て行く力』を持っているからいい。 本当に心配なのは、ここに来ることもできない人」という言葉が、印象的だった。見えていることだけではなく、その先、その奥を考えて活動されていると感じた。 そんな思いは、「ちゃいるど・すぺーす尾北」に集うお母さんたちに伝わっているようで、お友達を連れてみえたり、違う町で困っているお母さん方に紹介してくださったりするそうだ。

写真 絵心教室では、講師の子どもたちの丁寧な指導を受けて、絵を完成させます。
疲れると、かき氷のサービスがありました。

  「ちゃいるど・すぺーす尾北」のスタッフ・ボランティアの中には、参加者として来ていたという方もいる。 この場所が、子育て経験のある“普通”の方が社会に出ていく手助けになっていることも、水野さんにとって、とてもうれしいそうだ。


 

◆ 子どもたちが主体的に遊びをつくる

写真 事務所は、余野神社の境内にあります。

 「ちゃいるど・すぺーす尾北」から小学生対象のプログラム「もりもりキッズ」につながるよう、幼稚園・保育園年齢の子どもたちとその家族のためのあそびプログラム「きっず・マーブル」や、乳幼児と親が一緒に自然とふれあって遊ぶ「マーブルクラブ」という活動も行っている。 幼児の頃からお芝居などに親しんもらえるよう、「マーブルクラブ」のプログラムには人形劇などを取り入れている。

写真 もりもりキッズの子どもたちが作ったクリスマスの飾り。1

 小学生対象の「もりもりキッズ」は、地域の子どもたちの居場所となっている。 おやつ作り、科学遊びや木工など、プログラムが決まっている日もあるが、基本はのんびり、 ゆっくり過ごす時間を大切に、安心して遊べる空間を用意するということ。本を読みたい子、ドッジボールやおいかけっこをしたい子、どの子も自分で、その日の過ごし方・遊び方を決める。
 「子どもたちは、異年齢の仲間たちと過ごす中で、少しずつルールを学び合い、さまざまな体験を積み創造力や感性を磨いていく」という想いのもと、子どもたちを見守るスタッフがいることで、子どもたちが居心地良く過ごせる空間が生まれている。
 この「もりもりキッズ」以外にも、子どもがつくる子どもが主役のお祭り「こどものまち遊・楽・街」や、夏と冬に行われる「冒険キッズ」など、さまざまな活動を行っている。 どの活動も、子どもたちが自然を体験すること、友だちと一緒に過ごすこと、主体的に遊べる環境を作ることを大切にしている。

◆ 生の感動を、より多くの人に

写真 もりもりキッズの子どもたちが作ったクリスマスの飾り。2

 「子どもと文化の森」の活動のもうひとつの大きな柱が「文化と鑑賞」である。 年に数回の鑑賞会と、実際にお芝居を演じている人たちとの交流会を行っている。 「遠くの劇場までは行けないけれど、地元の会場だから見に行ける」というお客様も多いそうだ。
 また、「子どもと文化の森」という名前だけでは、地域の方々に、どんな活動をしているのかわかってもらいにくい。 事務所がある地域の方にこそ、もっと活動を知ってもらいたいという想いから、2年前から「大口笑おう会」という落語会も始めた。 ただ、落語を楽しんで終わりではなく、落語家さんとの交流もできるのが、この会の特長だ。 普段、あまり事務所に来ることのない世代の方々にも事務所に足を運んでもらい、生の芸術を体験してもらえるいい機会となっている。

写真 からだについて、面白おかしく学ぶお芝居。クイズコーナーあり、体操あり、演者と観客が一緒に楽しめる作品です。

 「お芝居などを見て、子どもたちの心が豊かに育っていくことは目には見えにくいが、子育てを大切にしている方には、生のお芝居や音楽などを体験する大切さをわかっていると思います。 しかし、今、あまりにも多くのイベントや情報が増えているので、何を選べばいいのかわからないという人も多いのではないでしょうか。そんな人たちに、本物のお芝居を見る機会を提供することで、子どもにとって本当に大切なことを自分で選べるようになって欲しいと願っています」と、水野さん。 2010年の3月に「オペラ ピノッキオ」を上演した時、子どもたちが乗り出すようにして舞台に見入っている様子を見て、「本物の歌やお芝居は、子どもたちにきちんと届く」ということを改めて実感したそうだ。
 生の舞台演劇の大切さを伝えたいという強い想いと、その想いをプログラムとして実行できる企画力、これまでの活動の中で作り上げられてきた他の団体や劇団とのつながりが、「子どもと文化の森」の強みだ。

インフォメーション


【特定非営利活動法人 子どもと文化の森】
 
〒480-0146 愛知県丹羽郡大口町余野1-153
TEL&FAX:0587-94-1223 
E-mail:npo-bihoku@aq.wakwak.com
HP:http://park16.wakwak.com/~kodomo-bunka/
「子どもが育ち、親も育つ。子どもと親、家庭と地域が本当の意味でつながり、心豊かになっていく」ことを目指し、子どもと文化を活動の中心にすえ、さまざまな活動を行っている。

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