豊田市保見団地内に拠点を置き活動するトルシーダでは、不就学のこどものための日本語教室をベースに、団地内のお母さんたちや大人たちを対象とした大人の日本語教室や、豊田市駅近くで仕事につながる日本語を教える教室等も開催している。今回は活動開始当初からのスタッフである湯原さんにお話を伺った。

みんなの教室

 保見団地内にある教室におじゃました際、7歳〜18歳までの子どもたち10名が4つのグループに分かれて日本語の勉強を始めていた。 グループ分けは年齢・日本語レベル・勉強する内容によって分けられる。 基礎的な日本語を学ぶグループもあれば、高校進学を目指し学校の宿題や受験勉強に取り組むグループもあった。 「日本語レベルが同じでも全く年齢の違う子同士で一緒に勉強することは難しいので、そういうところで少し気を使いますね」と湯原さん。
 教室で使用する教材はみんなの共有物として購入する場合、保護者に必要であるという説明をして買ってもらう場合に加え、教室で指導にあたるスタッフがオリジナルで製作する場合があるという。 製作する場合はその子の興味のあることを聞き取りし、それを盛り込んだものにすることもあるという。 学ぶ意欲を掻き立てるためのスタッフの方々の苦労と工夫が垣間みえる。

勉強風景

外国人の多い保見団地

 保見団地には外国籍住人が多い。 団地周辺には公立学校のほか、ブラジル人学校も4校ほどある。 ブラジル人学校は私塾という扱いになるので学費が公立学校に比べ高額で、ブラジルの教育のカリキュラムにそった授業が行われているので日本の公立学校とは文化的違いが多くあるのだという。
 また、団地に住む外国籍の人々の中には、当初の予定ではすぐ本国に戻る予定であったために来日時に就学させなかった人や日本と本国を短期間で往復する場合も多く、どちらの国でも長期的に就学した経験がほとんどないという事態も起こる。 湯原さんはそういった子どもたちの将来に危機感を抱いている。 「*semilingualが一番心配。大人になって勉強しようとしても本が読めない。基になる言語がないと日常会話以上の習得が難しいんです。」 言葉が自由に操れるようになれば就ける職の選択肢も広がり、より安定的に働くことができるようになることが期待できる。 活動の中では教室で日本語を学び、高校へと進学を果たした生徒もいるという。 言語学習は彼らの将来に大きな希望を与えている。


  * semilingual・・・二言語をある程度理解し、扱うことができるがどちらも不完全である状態。

勉強に使う教材

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