日本福祉大学から発信する
「チャレンジド」の精神
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−障害学生の自立生活サポートから地域福祉の発展へ−
チャレンジド(Challenged)とは、「身体に障害のある人」という意味。欧米では、「Handicapped」「Disabled」というマイナスなイメージの呼び方ではなく、「神様から与えられた試練を乗り越える人」という意味で、この言葉が浸透しているそうだ。今回は、この「チャレンジド」を団体名に用い、「自分たちも良いまちづくりにチャレンジし続ける団体でありたい」と、地域福祉の発展に取り組んでいるNPO法人を取材した。
  障害学生が安心して大学に通える環境を作りたい
 「チャレンジド」は、知多奥田にある日本福祉大学の学生を中心に、障害者福祉の活動に取り組んでいるNPO法人だ。代表を務める社会福祉学部4年の辻直哉さんは、全身性障害のため車いすで生活をしている。一人暮らしの生活には、介助者の存在は不可欠だ。しかし、「ボランティアは突然予定をキャンセルすることもある。彼らが来ないと自分の生活が成り立たず、自分の予定ではなくボランティアの予定に合わせた生活になってしまう」など、ボランティアとの生活に不安定さを感じていたと振り返る。
障害者講師として小中学校を中心に講演活動も行う代表の辻さん
障害者講師として小中学校を中心に講演活動も行う代表の辻さん。バリアフリーの行き届いた「チャレンジド」の事務所で。
 日本福祉大学には現在120名の障害学生がおり、辻さんのように全身性障害のある学生も10名いる。交通の便が良くない大学の立地条件から一人暮らしをする学生も多い。大学の障害学生支援センターは、学内のサポートはしているものの、自宅での生活まではサポートできないのが現状だ。そのため、このような障害学生たちは、ボランティアを自分で集めて生活を維持している。「中には自分で上手く友達を集められる人もいるが、そうでない人は最終的に家族に頼らざるを得なくなる」。そんな辻さん自身、1,000枚近いビラを配って、2、3人のボランティアしか集まらなかった経験を持つ。「誰でも、普段の生活が安定して初めて学校に通うことができる。だから、障害学生が同じように安定した生活を送り、安心して学校に通えるような環境を作りたい」と、2001年7月、辻さんは友人たちと「チャレンジド」を組織した。
 設立とほぼ同時に、まずは下宿生活を送る障害学生を訪問し、ボランティアとの生活や、生活上の問題などについて調査を行った。そのとき、「ボランティアが来なかったため、車いすのまま寝た」「トイレに行かないよう水を飲まないようにしている」といった声が聞かれ、彼らがいかに深刻な状況に置かれているかということを再認識した。その後も試行錯誤を重ねながら、次第に「必要なときに」「必要なサービスを」「必要量提供する」という理念を確立し、障害者の自立生活のサポートへと本格的に動き出した。

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