時代のキーワードともいうべきNPO。
このNPOが福祉、環境など幅広い分野で活動する非営利の組織とするならば、営利を事業目的とする企業は、言わばその対極にあるとも言えよう。
特定非営利活動法人 パートナーシップ・サポートセンター(以下PSC)は、そんな両者をつなぎ、両者のパートナーシップによる新しい社会の仕組みづくりを目指すユニークなNPO団体だ。
約150の会員の中にトヨタグループをはじめ、日本を代表する大企業が名を連らねているのも、ほかのNPOとは一線を画している。
PSCを立ち上げ、この地域のNPO活動の草分け的存在でもある岸田常務理事&事務局長に話しを伺った。



そもそも"NPOと企業とをつなぐ"とはどういうことなんでしょうか?
NPOの視点から言えば、将来的にNPOはNPOだけで、という考え方では成り立たなくなるはずです。税で成り立っている行政からの援助を期待するのではなく、同じ民間であり、自由意志が働く企業の支援、協力が不可欠になってきます。一方企業はといえば、時代の要請もあり社会貢献活動への期待が高まっているほか、ボランティア活動等、社員が生き生きできる場所や機会の提供が求められています。両者の間にニーズがあることは明らかで、私たちは、それぞれの立場やニーズをくみ取った上で両者が協働するための仲立ちをしているんです。

具体的にはどんなことをされているのですか?
NPO向けにフォーラムや交流会を開催して、企業と協働するために、企業に対してどんなアピール方法があるのか、どんなプレゼンをすればいいのか等のアドバイスや情報提供を行っています。企業向けには、社会貢献活動担当者を対象とした研修会や会議、コンサルティング、評価活動なども展開しています。
また、これはPSCを設立する前から実施しているんですが、企業とNPOのパートナーシップを学ぶために、その先進地であるアメリカへのスタディツアーもほぼ毎年行っています。

企業とNPOをつなぐ上で難しいのは、どんな点ですか?
何といっても、両者は言葉もルールも全く違いますからね。たとえば「納期や時間を守る」といった企業ではごくあたり前のことが、NPOでは案外ルーズだったりする場合があったりするわけです。NPOは、そういう意味で企業にも通用する基本的な社会ルールを学んでいく必要がありますし、企業側は、NPO側の活動にかける気持ちや情熱を理解していく必要があると思います。
ただ一つ言えることは、企業とNPOは、役割も存在意義も違うからこそ意味があるということです。違うからこそできる活動があるわけで、分かり合うことは重要ですが、同じである必要は全然ないんですね。
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